北区立中央公園文化センターと同園文化センターで(北区十条台1)で9月23日、水災時の消防機能強化に関する協定締結式と水災対応訓練が行われた。
国土交通省が発表している荒川下流広域洪水ハザードマップでは、王子消防署と東十条消防出張所が浸水区域に該当しており、荒川が氾濫した場合には、最大5メートルの浸水と2週間以上水が引かないと予測されている。同状況下では、王子消防署本部機能と消防用車両、資器材を高台へ移転させる必要があり、区有施設である同施設に一部移転先として提出された要望に東京都北区が応じる形で協定締結へ至った。
この日、遠藤幹雄王子消防署長と花川與惣太北区長が協定書に調印した。
王子消防署管轄の災害活動に支障が生じると予想される場合には、高台に位置する同センターへ消防署の一部機能として指揮本部、執務室、署員待機場所を移転するほか、消防用車両(ポンプ車、はしご車、救急車)や資器材を移転させ、水災時の消防力の確保する。
水災対応訓練では荒川の氾濫を想定し、機能移転の訓練を行った。「はしご車」「広報車」「救急車」「化学消防車」などが次々に到着し、到着報告を行った。会場では、実際に移転される資器材(救命ボート、連結水のう、マンホール噴出防止用鋼板など)の一部も展示した。
遠藤王子消防署長は「この場所は、とても災害を想定するような雰囲気ではないと感じるかもしれないが、日本全国では『まさかこの地域で』『まさかこの場所で』と言われる地域で災害が発生している。本協定も生かされないことを願うが、こうした協定や消防団などの取り組みが今後、広がることを確信している」と話す。
訓練の後には、風水害に対する準備のため「東京マイ・タイムライン」の作成の必要性や災害知識を習得する「防災講話」に自治会などの一般が参加した。講話の中で担当署員は「有事の際は情報を待つだけではなく、積極的に取りに行ってほしい」と話す。
北区担当者は「北区では『北区防災気象情報メール』で各種気象情報や災害情報などを携帯電話やパソコンに電子メールで配信している。多くの区民の皆さんに登録していただきたい」と呼び掛ける。