
芥川龍之介の自筆詩集が初公開となる企画展「龍之介・犀星のもとに集った詩人 『詩のみやこ』から100年」が現在、田端文士村記念館(北区田端6)で開催されている。
同展では芥川がペン書きした自作の詩12編を収めた冊子を展示。芥川の詩集は生前に発行されず、芥川の死後、友人で詩人・小説家の佐藤春夫がまとめた遺稿集「澄江堂遺珠(ちょうこうどういしゅ)」には詩の一部が掲載、全集には全文が収められていた。その後、行方が分からなくなっていた原本を同館が入手、公開となった。「詩集発行を見据えた製本の見本とも取れる貴重な資料」だという。
芥川が、詩人の萩原朔太郎が田端に転入することを喜び、「田端大いに詩的なり」とつづった佐藤宛の書簡も展示。当時の田端には堀辰雄も下宿し、室生犀星や芥川に師事、互いに批評し高め合っていた。室生は後年、この時期の田端を「詩のみやこ」と称している。
他にも「月に吠(ほ)える」を収録した原稿や室生と芥川の交流の様子が伝わる九谷焼の鉢、若き詩人たちが生み出した雑誌「驢馬(ろば)」なども展示している。
同記念館研究員の小林奈乃子さんは「『詩のみやこ』と称された田端での龍之介と詩人たちの交流を、『芥川龍之介 自筆詩集』など貴重な資料とともに楽しめる企画展。詩人としての龍之介に思いをはせ、お気に入りの詩の言葉を探してみてほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は10時~17時(最終入館は16時30分)。月曜と祝日の翌日休館。入館無料。9月13日まで。