桜草デザインのラッピングが施された浮間ルートのバス
北区内には数多くの鉄道が走り、東京メトロの駅が6カ所、JRの駅に至っては11カ所と都内で一番の多さを誇っている。数多くの鉄道が走っている区内であっても、駅までのアクセスが不便だったり、荒天時は徒歩が難しかったりする状況の場合もある。
そんな状況に一石を投じるのがコミュニティーバス。コミュニティーバスは通常の路線バスが走ることが難しいような細い道を運行したり、かつては交通事業者が運行していたが赤字だったため撤退した路線を運行したりするなど、交通弱者を生み出さないよう、主に地方自治体が運行するバス。
区内のコミュニティーバスの歴史は2008(平成20)年までさかのぼる。王子駅を発着地点とした「王子・駒込ルート」と駒込駅を発着地点とした「田端巡回ルート」の2路線が4月27日に試験運行を開始。2年後の2010(平成22)年に本格運行が始まったのを機に、バスの愛称は「Kバス」となった。
王子・駒込と田端巡回ルートバス(しぶさわくんラッピング)
王子・駒込と田端巡回ルートバス(通常ラッピング)
「王子・駒込ルート」は王子駅を出発し、赤レンガの姿が印象的な中央図書館、江戸時代から続く桜の名所である飛鳥山公園、バラの花が美しい旧古河庭園などの観光スポットが数多くあるルート。
飛鳥山公園の桜
バラが見頃を迎えたころの旧古河庭園
「田端巡回ルート」は駒込駅を出発し、学校や保育園などの施設が多数点在しており、坂道が多く、高低差があるエリアでもあるため、文字通り区民の足となっている。
10年以上これらの2路線を走ることで区民を支え続けてくれたコミュニティーバスの3路線目として「浮間ルート」がこの春、登場した。
浮間エリアは、区内の交通における利便性を検討した結果、鉄道駅やバス停が少ない地域としてコミュニティーバスの必要性が高いとされ、採択された。
この新たなルートを走るのは、区内で初めてコミュニティーバスに採用されたEV車両。その車体には浮間ルート沿線に桜草のほ場があることから桜草のデザインが施されている。現在は、7月3日の新札発行に合わせて、同区の渋沢栄一プロジェクト広報キャラクターである「しぶさわくん」が描かれた期間限定デザインのラッピングバスが運行している(他ルートでも「しぶさわくん」ラッピングバスは運行中)。運行開始から2カ月たったが、既に地域の人々に活用されている。運行ルート近くに住む女性は「EVなので、とても静かで乗り心地が良い。家の近くにバス停があるのはとても便利」と話す。
北区交通事業担当課の山崎伸一さんは、この新ルートについて「地域に暮らす人たちの買い物や通学、生活の足として利用するのはもちろん、四季折々の自然が楽しめる浮間公園までの乗車など多くの人たちに活用してほしい」と話す。
運賃は1乗車につき100円(1歳未満の乳児は無料)。1日乗車券は300円。回数券は11枚つづりで1,000円。7時台から20分間隔で運行し、最終バスはルートによって異なる。