八雲神社(北区岩淵町)で12月22日、餅つきが行われ、参加者につきたての餅が振る舞われた。
同神社は江戸時代に日光御成道(おなりみち)の宿場として栄えた岩淵町の鎮守として崇敬され、荒川流域であるため境内には「水神」を祭る「水神社」もある。明治時代になってからも街道沿いには商店が立ち並び、宿場として繁栄を保っていたという。
餅つきは古くからある神事の一つ。稲作信仰により、稲から採れる米は生命力を強める神聖な食べ物だとされてきた。ハレの日に餅をつくことで、五穀豊穣や健康、地域社会の繁栄を祈願してきた。
当日は神職によるおはらいの後、八雲睦会のメンバーが中心となって地域の警察・消防の関係者、住民らと共に臼を囲んで餅つきが始まった。用意したもち米は120キロ。子どもたちもサポートを受けながら小さな手にきねを持って体験した。
昨年までは、ついた餅を正月初詣の参拝者に福餅として配布してきたが、固くなってしまい食用向きでなくなる難点があった。今年は関係者で話し合い、サステナブルな観点から当日持ち帰ってもらうことにした。各家庭で味わい、正月飾りにも活用するなど食品ロスを減らす取り組みも行った。
責任総代の佐野謙三さんは「地域に若い世代が増えてきたが、町内や神社の行事への参加がまだ少ない。そこで餅つきのポスターを張り出し、小・中学校にも呼びかけた。これを機に地域行事への参加のきっかけになれば」と話す。