
滝野川の銭湯「稲荷湯」(北区滝野川6)でアンビエント音楽(環境音楽)のライブ「風呂アンビエント」が7月6日、開催された。
ライブを行ったのはさまざまな楽器を演奏し、雨音や鳥の鳴き声などを表現するKenji Azumaさん、自然の中で環境音を主体とした音作りをするTAKEO WATANABEさんとモジュラーシンセサイザー奏者と声を組み合わせて音楽を表現するMomose Yasunagaさんの3人。
稲荷湯は1930(昭和5)年に建てられた歴史ある建物で、映画の撮影に使われたこともある。主催したモジュラーシンセメディア「Patching for anything」の望月怜史さんは「銭湯好きが高じて、銭湯富士の描かれた場所でライブをしてみたいという思いと、風呂で歌を歌うと心地いいと感じる残響を生かして、アンビエント音楽を聴く場を設けてみたいという思いから開催することになった」と話す。
出演者の3人は「歴史ある銭湯という空間でしか作り出せない残響が、三者三様の個性を引き出してくれた。音が湯煙のように立ち上がり、歌声は湯気の中から響く鼻歌をイメージしたことで、音楽が水滴のように降り注ぐライブになった」と振り返る。
「昨今、日本中の銭湯がさまざまな理由で廃業を余儀なくされるということを見聞きした。自分が携わっている音楽を通じて、銭湯文化を保存していく取り組みに貢献したいと思い、今回のライブチケットにも入浴券を付けた。音楽の力で少しでも銭湯存続の助けになれたら」と望月さん。