田端文士村記念館(北区田端6)で現在、企画展「多種多彩!!田端画かき村の住人たち」が開催されている。
同館がある田端は、元は閑静な農村地だったが、1889(明治22)年に上野の東京美術学校(現・東京芸術大学)が開校したのをきっかけに、学生が徒歩でも通える利便性の高い土地として徐々に芸術家が移り住み、明治から昭和にかけて小杉放庵、芥川龍之介、田河水泡など多くの著名人が暮らす「文士芸術家村」があったという。
同展は、田端にゆかりのある文士・芸術家の中から絵画に焦点を絞り、明治から昭和にかけて活躍した芸術家の作品を展示。洋画、日本画、漫画、装幀、挿絵などを多種多様な作品を展示する。
展示作品は、南薫造「安浦アトリエの裏」を含む洋画8点、山田敬中「雪景山水図」を含む日本画2点、石井鶴三「無限抱擁」(瀧井孝作著)の挿絵など、新収蔵の作品が一挙に公開されるほか、田河水泡の漫画「のらくろ」や芥川龍之介の親友・小穴隆一の装幀原画「西方の人」(芥川龍之介著)など。
研究員の白石さんは「普段はなかなか見ることができない作品も展示してあるので、この機会にぜひ鑑賞してほしい。展示を見ると田端に住む文化人同士の友情や仕事の交流などもうかがい知れるので、今回の企画展をきっかけに田端に暮らした文士・芸術家に興味を持ってもらえれば」と来館を呼びかける。
開館時間は10時~17時。月曜、祝日の翌日、年末年始休館。入館無料。企画展は3月31日まで。