北区滝野川の銭湯「稲荷湯」(北区滝野川6)の隣にある築100年ほど経過した木造平屋建ての建物を再生した「二軒長屋」のお披露目会が開催された。
稲荷湯は1930(昭和5)年に建築された建物を現在でも銭湯として使用、その隣にある二軒長屋も稲荷湯と同じく2019年に登録有形文化財として認定されている。二軒長屋は以前、旧中山道沿いにあったものが移築されてきたこともあり、築年数は定かではないが長く稲荷湯の従業員の住居として使われていた。2軒のうち一戸は20年ほど前から空き家となり、もう一戸は稲荷湯の倉庫として使われていたが老朽化が進んでいた。
その長屋を再生することで銭湯を利用する人々が入浴前後に立ち寄れる場所として活用したいとプロジェクトを立ち上げ、伝統工法や職人技術を用いて改修を行った。一戸は住居として使われていた当時の姿へと修復し、もう一戸は土間のあるキッチンを配した空間へと生まれ変わった。
長屋の再生について、プロジェクトを進めてきた一般社団法人「せんとうとまち」代表理事の栗生はるかさんは「銭湯という場の持つ街のコミュニティーを存続させることで、かつてはどの街にもあったご近所付き合いを残していくことができる。稲荷湯内にあるコミュニティーを、二軒長屋を通して街にも広げていけたら」と話す。
お披露目会では長屋のある滝野川地域を歩くツアー、マルシェ、喫茶、チンドン屋の演奏があり、猛暑日にもかかわらず多くの人でにぎわった。
同法人理事の江口晋太朗さんは「二軒長屋を継続的に運営することを目的としたクラウドファンディングも行っている。お風呂に入りに来た人も二軒長屋を目的として訪れた人も畳の上でくつろいでほしい」と笑顔を見せる。
二軒長屋の今後については、同法人のSNSで知らせる。