2001(平成13)年から毎年、主に小中学校の夏休み期間に合わせて開催されている恒例イベント「夏休みわくわくミュージアム」が現在、北区飛鳥山博物館(北区王子1)で開催されている。
今年は大河ドラマ「晴天を衝け」が放送され、同館内に大河ドラマ館も開館していることから、小中学生でも分かりやすく渋沢栄一と北区との関係について学べる展示コーナーを設けるほか、北区の歴史や文化財について学べるクイズラリーも行っている。
「ここがすごいよ!渋沢栄一」コーナーでは渋沢栄一の著書「論語と算盤」から子ども向けに抜粋したものを展示。かつて王子にあった抄紙会社(しょうしがいしゃ=現在の王子製紙)は渋沢栄一が1867年に渡欧した際に感じた洋紙の必要性から設立した会社で、レンガ造りの建物は当時の近代化の象徴となっていた。江戸時代から続く名所としての飛鳥山と、そこから見下ろす近代化の象徴である抄紙会社という2大観光地を写した写真などを見ることができる。
博物館学芸員の工藤さんは「渋沢栄一というとドラマになるような昔の偉い人という漠然としたイメージしかないかもしれないが、現在でもその功績や北区との関わり合いが見て取れるところが数多くある。例えば飛鳥山公園内にある『晩香廬(ばんこうろ)』と『青淵(せいえん)文庫』は、かつて渋沢栄一がここに居を構えていた名残で、音無親水公園に架かる音無橋は渋沢栄一の支援を受け建設されたもの、といったように現存しているものがある」と言う。
クイズラリーは常設展の中にある北区の歴史や文化財をクイズ形式で楽しみながら学べるもので、参加者には景品を用意する。
新型コロナ感染拡大防止のため、館内で予定していた体験講座は中止となったが、ミュージアムショップでは家で作れる工作キットを販売するほか、ユーチューブでは「おうちミュージアム」と題してさまざまな動画も配信している。
工藤さんは「この展示を夏休みの自由研究などで活用して北区の歴史や渋沢栄一のことを、より深く知ってもらえたらうれしい。分からないことがあれば気軽に学芸員に尋ねてもらえれば」と笑顔を見せる。
期間中の開館時間は9時~18時。月曜と8月10日は休館(9日は開館)。8月29日まで。