東十条の常住寺車場(北区東十条6)で6月9日、「こども食堂あゆみ」と「博多一風堂」のコラボレーションで、できたてのラーメンを無料配布するイベントが開催された。
ラーメンの配布には一風堂のキッチンカーを活用。主催は、こども食堂あゆみを運営する一般社団法人「SHOIN」(東十条5)。あゆみと一風堂の連携を仲立ちしたのは、NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」。
こども食堂あゆみは2018(平成30)年1月、社会福祉法人「あゆみ」(東十条6)を会場にスタートした。毎月2回、高校生以下は無料、大人は300円の負担で、これまでさまざまな食事を提供してきた。開催情報はネット上で事前に公開し、こども食堂あゆみは、子どもも大人も和気あいあいと集う地域の「居場所」の一つになっていった。
そんなこども食堂あゆみも、コロナ禍によって2020年2月いっぱいで活動をいったん自粛。同年8月に活動を再開するも、感染予防対策への配慮などから事前申込制とし、それまでは飛び入りで50人ほどいた参加者も定員20人まで絞り込まざるを得なくなった。
変わったのは参加者の人数だけではなかった。「比較的気軽な『居場所』色の濃かった場の雰囲気が、次第に『支援』色の濃い雰囲気になっていった」と、SHOIN理事の小池一博さんは当時を振り返る。同NPOは北区内で、食の支援活動「フードパントリーららら」も主催しており、そちらでは食料品を無料で配布している。こども食堂あゆみも、フードパントリーでの活動の雰囲気に徐々に近づいていったという。「居場所」と「支援」、どちらもそれぞれに意味のあることだが、小池さんは、せっかく作り上げてきた地域の「居場所」が無くなりかけていることを危惧していた。
こども食堂あゆみは2021年1月、緊急事態宣言によって活動を再度休止。活動再開の方法を模索した結果、たどり着いたのが「キッチンカー」だった。2月・3月はキッチンカーをレンタルし、予約不要の形で常住寺の駐車場で食事を配布した。「果たしてキッチンカーでうまくいくのかと不安もあったが、会場が屋外というのも功を奏したのか、コロナ後は来なくなっていた子どもたちが戻ってきてくれた。コロナ禍の『居場所』作りに、キッチンカーは使えるという手応えを得た」と小池さんは言う。
4月・5月は自前で用意したキッチンカーで、活動をそのまま継続。そして6月、博多一風堂とのコラボレーションでラーメンの無料配布が実現した。今回のイベントは申込制。30分ごとに各30食、17時30分~19時30分の間にこれを4回行って計120食を配布する予定だったが、飛び入りの参加者もあり、最終的には150食を配布した。北区全域から集まった参加者たちから、一風堂のキッチンカーとラーメンは好評を博した。
「もしも緊急事態宣言が解除され事情が許すなら、7月からは当初の会場だった社会福祉法人あゆみにキッチンカーを横付けし、屋内とテークアウトの両方でこども食堂を開きたい」と、小池さんは意気込みを見せる。