滝野川にある銭湯「稲荷湯」(北区滝野川6)の「修復再生プロジェクト」の助成支援が決定した。同施設の保存活動に取り組む任意団体「せんとうとまち」が9月18日、発表した。
同プロジェクトは、米ニューヨークの「アメリカン・エキスプレス」と「ワールド・モニュメント財団(以下、WMF)」が行う、「存続が危ぶまれ早急に修復・保存活動が求められる」世界各地の文化遺産に助成し支援する活動の一環。今回、7件の文化遺産の一つに日本から同施設が選ばれた。
2019年、都内の銭湯としては2例目となる国登録有形文化財の登録、10月にはWMF主催の2020年版「文化遺産ウオッチ」で、建築的文化的な価値の他、社会的価値なども評価され、世界中から応募のあった250件以上の中から25件に選ばれ、今回の助成支援につながった。
稲荷湯は1930(昭和5)年に建てられ、戦火から逃れたことで現在も戦前の面影を残している。浴場、母屋、従業員の住居として建てられた長屋などの建造物で構成され、外観は入り母屋造りの玄関とその上に破風(はふ)が重なる特徴を持つ。
今後は、「せんとうとまち」を中心にWMFの支援を受け、同施設と長屋の修繕を行い、銭湯を運営しながら地域一帯の活性化につながるような拠点として整備することを計画している。
同団体の栗生はるかさんは「銭湯と銭湯を支える地域の魅力をつなげていきたい。この支援をきっかけに、稲荷湯だけでなく銭湯業界にいい刺激になれば」と期待を込める。